マサシ侵攻策 〜二十〜 |
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絶体絶命、とは今のヒカルの為の言葉かもしれない。 優秀な敵軍の素早い攻勢に為す術もなく、オオコシ軍は二番国の南の川岸から撤退せざるを得なかった。ミキヤという敵将の鋭利な牙は、まさにヒカルの首を食いちぎろうとしていたのである。猛虎は川岸から上陸し、オオコシ軍の西端の地を一気に自国領とせんと目論んでいた。その勢いは猛にして、止めることあたわず、とオオコシ軍内部でも古株の兵士は表現した。 ヒカルは戦況をひっくり返すのを無理と判断し、ヘイと示し合わせ、撤退を全軍に伝達した。リョウマ軍はこれを機とみなし、オオコシ軍の最後尾を突っ突いたが、いざ逃げるとなるとオオコシ軍は速い。あれよあれよという間に撤退は完了し、オオコシ軍の僅かな生き残りは城の中に撤退した。リョウマ軍は一旦攻勢を止め、作戦を練った。 「さて、篭城戦か……どうやって攻めるか」 二番国に居を構えるその城は、オオコシ領のなかではまあまあ立派な方であった。何しろ領国最西端の地であるから、外敵の侵入を防ぐ為にある程度の手立ては整えられているのだ。自然の防壁が広河ならば、人為的な防壁はこの出城である。 構えは質実剛健といったところで、不要な装飾は無い。しかし、鉄板張りの門、しっかりとした造りの城壁など、防御能力の面では問題無い。篭城には適した城である。食糧も水も十分に蓄えられており、二千の兵力なら二週間は保たせることが出来る。 問題は、援軍が来るまで敵の攻めを防げるか、ということなのだが……。 ヒカルは援軍の到着を待ちわびる者の一人だったが、果たして彼自身、生き残れるという自信があったかどうか。 そんな城の外観を見て、ミキヤは言う。 「攻めるには実に難しい。だが、攻め手は必ずあるはずだ。後一歩、後少しでこの二番国は我らのものとなる。城に出来るだけ傷を付けずに、オオコシ軍を燻り出す方法を使おう……奴らが暴動を起こしかねないというのが些か気がかりだが……」 数分の思考の後、ミキヤは決断を出した。「だが、もはや我らの勝ちは揺ぎ無い。火責めにせよ!」 まさにミキヤがその命令を下し、火器の準備を始めた時であった。 一人の兵士が彼の元へ現れ、重大な事実を告げた。その兵士は相当走ってきたのか息が荒く、声が掠れて会話もままならぬようであった。ミキヤは別の兵に命じて彼に水を飲ませた。リョウマ軍では、陣中の酒はご法度となっているからである。 「何事だ」 静かに、だが良く通る声で聞いた。 「東方の兵より、重大な報せあり」 「東方の兵」とは、ミキヤがオオコシ軍の援軍に備え、あらかじめ二番国、三番国の境付近に配置していた兵のことである。狼煙、伝書、その他あらゆる手段で緊急事態を報告するための部隊であり、時に交戦、迎撃も行う。 兵士の慌て振りからことの重要性を悟り、ミキヤは言った。 「……援軍か」 「仰せの通り。東方の兵の言より、「ケンタロウがオオコシ軍四千の騎兵を従えて三番国を攻める」と」 ミキヤは兵士の言を笑い飛ばした。いかにも馬鹿げた内容の報告だったからである。 「そんな馬鹿なことをするものか。オオコシ領にとって、確かに二番国は要地であろう。だが、いかに大切な土地とは言え、四千もの騎兵を割こうはずも無い。そんなことをすればオオコシ軍主力の兵力は激減し、その隙をマサシに突かれて敗れるのみだ。第一ケンタロウは七番国を守るオオコシ軍の要。こちらもまた、飢えた虎の前に肉を置き去りにするようなものだ。毒酒でも置くのならまだしも」 「しかし、現に……」 「そのことはもう良い。まずはこの城を攻めることから……」 ミキヤは途中で言葉を切った。 確かに、蹄の音がする。それも百や二百ではない。千も越える音である。その大音響は大地を揺るがし、自らの位置を敵に示すことも厭わず、ただその猛烈な勢いを武器に突進してくるのである。ミキヤの目にも、その姿が見えた。 ミキヤの目に見えたのは、おびただしい数のオオコシ軍である。それはミキヤを戦慄させるのに十分な迫力を持って、リョウマ軍の陣中へ飛び込んで来た。 ミキヤは狼狽を隠そうともせず、全軍に呼びかけた。撤退だ、撤退せよ、と……。 しかし、援軍をリョウマ軍より早く発見した者達がいた。それは、二番国居城の最上階から味方の到着を待ち望む者達に他ならなかった。
「見るがいい。奴らの狼狽する様子が手に取るように分かる」 馬上で指揮を取るのは、オオコシ軍で唯一信望と常識と兵力を備えた男、ケンタロウ。それに続くのが、今や彼の配下となったオオコシ軍四千の騎兵である。軍馬は力強く大地を踏みしめ、嘶く。彼らは一斉に牙をむいた。今にも逃げ去ろうとするリョウマ軍に、竜のごとき威圧感をもってして迫る。 「さあ、勝負だリョウマ軍よ!」 その呼びかけを無視するかのように、リョウマ軍は撤退を始めた。何しろ歩兵が主力の軍隊である。とてもではないが、同数以上の騎兵隊に、それもオオコシ軍最強とも噂される猛将に攻められてはひとたまりも無い。 しかし、撤退はミキヤの思うようには進まなかった。 二番国の門が開け放たれ、中から数百の兵士が飛び出したのである。援軍の到着に歓喜の声を上げる、オオコシ軍の仲間たちであった。彼らはまるで水を得た魚のようにリョウマ軍を攻め立てる。その中にはヒカルも混ざっていた。 「あれはヒカルか、たまにはいい働きをする……」 ケンタロウは密かにほくそえんだ。思ってもみない突発的な軍事行動で、一気にリョウマ軍とケンタロウ達の距離は縮まった。もうケンタロウの騎兵隊四千は、リョウマ軍を射程圏内におさめた。 その状況を見て、これは如何ともし難いと思ったのはミキヤだ。全軍の撤退がままならず、更に予想外の方面からの攻撃に遭い、あれほど連係の強かったリョウマ軍がタジタジである。このままでは負けだと判断し、彼は全軍に再度撤退命令を出した。今度は本気で逃げよとの命令である。後ろから斬りつけられようが、とにかく走れ。彼はそう言いたかったに違いなかった。リョウマ軍の兵士も戦場を察し、とにかく逃げ出した。 逃げる方は悲惨なもので、少しでも軽くなるために鎧や兜を脱ぎ捨てたり、剣を捨てた者もいた。それが却って仇となり、オオコシ軍の格好の標的となった。逃げ果せた者はまだ良いが、これで死んだ者は悲惨としか言いようが無い。 「撤退せよ、撤退せよ」 ミキヤは狂い叫んだ。彼もまた撤退しているが、剣を手にオオコシ軍と奮戦しながら、という状況である。それでも、彼は配下の兵と共に必死で走った。 「広河に出れば、まだ再起の手はある!」 大将の一言を信じ、彼らは必死で逃げた。最終的にこの退却で三百近い兵士の命が失われたが、残りは川岸に出ることが出来たのである。ミキヤも左腕に傷を負ったが、何とか生き延びていた。そんな彼らの元へ、オオコシ軍は殺到する。もはやリョウマ軍に逃げ場は無いように思われた。 しかし、ここからがミキヤの手腕である。彼はオオコシ軍が昂揚しており、冷静さを欠いていることを知っていた。そして、いかに落とし穴に落とすか。その方法も考え出されていた。 岸辺まで(と言っても、砂浜のようなものだが)逃げおおせた彼らは、三分の二の兵士を広河上に、そして残りの三分の一を岸辺に残した。それは逃げた順である。彼らにほとんど追いつきかけていたオオコシ軍は、これは好機とばかりに三分の一の兵に戦闘を挑む。 しかし、戦場は狭い岸辺である。騎兵の機動力は殺される。騎兵隊を指揮した経験の少ないケンタロウは、始めの内はその危険に気がつかなかった。 ミキヤは、船上の兵に矢を射掛けさせたのである。広河戦に長けた彼らは皆射撃の腕が良く、精度も相当なものである。そして、オオコシ軍は騎兵。リョウマ軍の歩兵より半身は高い。ミキヤはその丈の高さを利用した。歩兵同士の戦いならば、味方に矢を浴びせ掛ける危険性もある。だが、今回は騎兵の頭部だけを狙えば良いのだから、実に楽なのだ。 オオコシ軍は船上から雨のような矢を射掛けられ、急速にその勢いを減じた。川岸には、オオコシ軍騎兵隊の屍が幾重にも重なりあい、肉団子に近い状態である。それが塁となり、オオコシ軍騎兵隊はリョウマ軍に近づけない。そこをものの見事に狙われるのだった。 この急激な戦況の変化に恐れをなしたのは、無論ケンタロウである。 「退け! ここは無理に攻める必要は無い!」 それは現場にいる兵士達が最も良く分かっていることであったので、命令はすぐに全軍に行き渡り、オオコシ軍は侵攻を止めた。この時の犠牲者は百や二百ではない。数的には、オオコシ軍とリョウマ軍は互角になってしまったのだ。 両軍は陸上と河中で睨み合いを続ける。 やがて、リョウマ軍は一時的な撤退を決定した。何よりミキヤの負傷があり、一旦戦況を立て直さねばどうにもならないのである。 リョウマ軍は、夕日を背に去っていった。 その後姿を見て、ケンタロウは独語する。 「なんとも歯痒いものだ……流石に大陸全土にその名を知らしめるだけのことはある。敵将ながら侮れん……大王もまさかこれほどの敵とは思いもしなかっただろう。ミキヤを確実に潰そうものなら、一万では足りんかも知れんな」 一方、陸上のオオコシ軍を見やり、ミキヤの言。 「くっ、手傷を負ってしまったか……。まさか本当にあのような騎兵隊が援軍に駆けつけるとは……これではもう迂闊に侵攻できぬ。ケンタロウが相手では致し方あるまい」 そして、翌日。 あらゆる手が実行不可だと悟り、また、手傷の悪化も原因で、ミキヤは兵を引いた。この時の兵力はおよそ三千二百。計画を成功させることが出来ず、彼は無念さを隠しもせずに状況で帰国した。 時は1561年九月二十九日のことである。
旧暦1561年十一月十七日。ケッタ、オオコシに謁見。 元タモ軍の重臣、ケッタはついに旧敵国の主と謁見を果たした。ほんの数ヶ月前なら、謁見など実現し得なかったことである。恐らくはこの場で血なまぐさい闘争が起こっていたことだろう。 しかし、ケッタはオオコシに掴みかかるような真似はしなかった。何より現在、彼が主と仰がねばならぬ対象である。おまけに、オオコシは身辺を強固に警護させており、たとえ数ヶ月前のケッタであっても、手出しは不可能であったはずである。 「マサシに似ているな……」 彼は以前にも似たような経験をしていた。タモ国の一武将として、マサシに親善を提言した時である。その時、マサシは身辺を警護させて、全く隙の無い状況でケッタに謁見を許したのである。国主とはこうあるべき、という姿だったとケッタは考えている。国主が絶対的に権力の中央にいる以上、簒奪される隙を見せてはいけないのである。簒奪による乱世は不幸を呼び、一時的にでも国力の衰退を招く。彼らの上に立つには、実力によってのし上がる以外に無いのだ。 オオコシは全身に鎧をまとい、武力を誇示するかのようにケッタの前に立ちはだかった。圧倒的な威圧感が感じられる。それはマサシと相対した時には無かったものである。マサシからは、少し文化的な匂いがした。 謁見の間は広いが、千以上の兵を入れるとすし詰め状態になるだろう、という程度だった。その広い部屋に、十数名の親衛隊と、ケッタと、そしてオオコシが居る。部屋の最奥に居座ったオオコシに、媚びるかのようにケッタは近付いた。 そして、オオコシから数歩離れたところで、膝を折った。 「良くぞ参った、ケッタよ」 「……」 ケッタは何も答えない。答える必要が無いと感じたからだ。返事と言うのは、闇雲に返して良いものではない。頭の良い者は、発言する機会を知っている。 「ふむ、答えぬか、まあ良い……」 オオコシは一旦言葉を切った。目の前の相手に視線を注ぐ。それは、信用に足る男かどうかを調査しているかのようでもある。 「ケッタよ。タモに未練は無いか」 ケッタは身構えた。この問いに対する答え一つで、オオコシ軍内の地位が決まると言っても過言では無いからだ。軍事的な才能に関しては、既に十分過ぎるほど証明されているのだから。 「正直に申しますと、未練が無いわけではありません」 オオコシは、大男の口から発せられた意外と流暢な言葉に、そしてその内容に、僅かながら驚きを感じていた。 「しかしながら、タモ王は人選を誤り、我が意を汲まず。このままではタモ国が滅ぶと判断し、タモを裏切ったのです。道連れだけは困りますので。何しろ、せっかく持って生まれた軍事的才能、それをタモのために浪費したまま死んで行くのはあまりにも空しいのですよ。陛下」 やや無礼な口調になったが、それも構わず、と言った表情でオオコシはケッタの論を聞いた。 「ほう……それでは、お主は我が国も裏切ると言うのか?」 答えは既に用意されていた。 「もし万が一この国が傾き、国家の存続に関わる窮状に落とされれば、可能性はあるでしょう。しかし、陛下。私は何も考えずに亡命先を選んだのではありません。この国の軍事力と豊富な国土、まず沈むことは有り得ないでしょう。そして、私が存分に腕を振るう時が来るとすれば、陛下の負担も減りましょう」 「ほう……」 オオコシはヒゲを撫でた。周囲に控える親衛隊は、皆ケッタの発言に危機感を持っていた。オオコシに対する忠誠意識の薄さがその利己的主張に垣間見えたからだ。親衛隊は殺気を発し始めたが、ケッタは意にも介していない様子である。 「中々面白いことを言う奴よの。気に入った」 オオコシは笑った。ケッタは、自らの策略が嵌ったのに成功した。これで、十分な地位は保証されるものだと、感じ取った。 しかし、その考えはオオコシの発言によってひっくり返された。 「ならば、四番国に赴任せよ」 ケッタの精神に衝撃が走った。予想はしていた。四番国はケッタに縁のある土地であり、地理に明るい。国主としては、最適の人選である。 「……その程度で宜しいので?」 「ほう、地位に不満か」 オオコシはケッタを一睨みしたが、相手の目は鎧の下に隠され、表情をうかがい知ることは出来なかった。 「ならば、望みを言うが良い」 「……私は軍事的才能以外に乏しいのですよ、陛下。タモなど何の歯ごたえも無く、倒しても実りは少ないのです。無論、陛下たっての希望ならば、すぐさまタモを討って見せましょう」 ケッタは、遠回しに遠国の統治を匂わせた。多くの兵を統率することこそ、ケッタの実力を見せしめる近道である。 「ほう……ならば、こうするが良い」 オオコシは方向を転換した。 「七番国へ赴任せよ。向こうには二千の兵を駐留させており、将軍不在である。更に強敵マサシが控えておる。お主にマサシを追い払えるか?」 ケッタの顔に僅かながら朱色が差し、微笑が浮かんだ。ケッタは膝を折ると、 「陛下の思いのままに」 謁見の間にオオコシの高笑いが響いた。その間中、彼は下を向いたままだった。オオコシに対して決して、決して強硬的な態度にも出ず、自らがオオコシの格下であることも示そうとしたのだった。 表情を見られぬため、という理由もあるにはあったのだが。
翌日、ついにケッタは五番国を旅立ち、七番国へ向かう。これまで道案内を行ってきたヘウは四番国に戻り、南の防波堤となるべく待機しているという。ケッタには、ケンタロウに代わる「東の防波堤」としての機能が期待されていた。この人事が完全に上手くいけば、オオコシは東西南北全ての包囲に安定した兵力を備えることとなる。勿論、中心であるオオコシが上手く働いて調整しなければならないのだが。 オオコシの期待を背負い、ケッタは新たな戦場へ馬を向かわせる。その傍らには、コウランがいた。彼女はついに男装をやめ、男女どちらとも取れる召使用の服装をして、ケッタのお供をしていた。どうやら徴兵されるのが嫌らしかった。「お前にくっついてないと、復讐は果たせないもんな」と言っているが、ケッタにはそれが強がりであると分かっていた。 「まあ、これで少しは御し易くなったというものだ……」ケッタはぼそぼそと呟いた。 「何か言ったか?」 「子供に懐かれる身というのも、苦労が多いもんだな」 「好きで付いて行ってるんじゃない!」彼女は顔を真っ赤にして怒鳴った。本気で嫌そうな表情をしている。 「まあ、喚きたければ喚け。喚けるのも今のうちだからな……」 そう言うや否や、ケッタは馬を飛ばした。急激な速度変化についていけず、彼女は戸惑い、必死で馬を飛ばした。 「こ、この……待て!」 一本道ゆえに迷うことは無いが、距離が相当なものである。どんどんケッタに突き放されては、離されまいと必死に追いすがったが、その背中は遠い。時によっては、靄や砂嵐のようなもので、その姿が霞んで見えることもあった。昼頃にはついにその姿が見えなくなる。そして、日没間際になって、彼女はようやくケッタに追いついた。随分と遠い一日のように思われた。 「遅いぞ。もう二時間以上待たされた」とケッタ。 「お前が早いんだよ……」息も切れ切れになり、ケッタ相手に毒づくコウラン。 「なに、実力主義の世界を教えてやりたくてな」 「ったく、嘘臭いな……」 ケッタはわざと目を逸らした。実力主義などという言葉は彼に似合わない。そのことでそっぽを向いたのだろうか? 否。彼には彼なりの理由があったのである。どうしても、一時的に一人にならねばならない理由が。それを彼女に悟られてはいけなかった。子供は変なところで鋭い時がある、と思って。 「まあ、今日はこれで終わりだ。明日は少し忙しくなりそうだからな、早めに休んでおけよ」 ケッタが視線を戻した時、彼女は既に寝ていた。 (あれくらいで疲れていては、この先どうしようもないぞ……全く、ガキは世話が焼ける……) ケッタはコウランを休ませて、火を焚いた。その後、眠ることなく、ただ一人見張りに立っていたのだった……。
歴史家は語る。 「マサシの侵攻に端を発し、ミキヤの侵攻、ケッタの裏切りなど、戦史は新たな一面を覗かせた。 また、その歴史家は次のようにも述べている。 「「序乱」を過ぎ、「マサシ侵攻策」も終わりを告げた。
マサシ侵攻策 (完) 執筆日 (2004,09,28)
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