第11回公式杯
四季杯=春= 決勝
枠順
開催者の呟き
公式杯も回を重ねること十一回。
一時期は開催さえも危ぶまれた今開催だが、出走登録は実に十三匹にも及び、ハイレベルなレースが展開された。
今尚参加者がいるという現状に感謝したいと思う。
四オーナー、八匹の夢を乗せた開催をお楽しみいただきたい。
チュウたちはストレッチを終えた。既に準備は終わっている。
春一番を吹かせるのは、果たしてどのチュウだろう?
……ファンファーレが鳴った。
レース実況
さあ、体制揃って……スタート!
合図と同時に、全てのチュウが思い思いのスタートを切りました。
内枠から順に飛び出していったのはラークエンハンス、タコ親父SS、あくまのきし。
やや遅れがちでしょうか、エンジンのかかりが悪いのはヘブンズグライド。プチ杯の優勝チュウがいきなり急ブレーキを踏んだか!?
その外、オーラII、ルミネタイトは高い瞬発力を生かしたスタートを切っています。
アエラスが頭差程度に遅れているでしょうか……その外からアポロンワールドが続きます。
僅かな差はありますが、流石は全国でも一流の強者揃い!
特に脱落者も無く、全てのチュウが良いスタートを切った模様です。
第三コーナーまでのバックストレッチ、順位の変動はありません。
ただ、スタート直後と比べると、ややあくまのきしが前に出た模様、ラークエンハンス、タコ親父SSは僅かながら後退したようです。
段々とペースを上げていくのがヘブンズグライド、その外……オーラII、ルミネタイト、アエラスは差が無く追走と言った感じです。
やや前に出たのがアポロンワールドか。これは良いペース。
この時点で既に勝負根性を思いっきり発揮しています。
一団となって第三コーナーに差し掛かり……ここで一気に前に出たのが、オーラII、ラークエンハンスの二匹!
いや、その二匹に挟まれる格好になって、あくまのきしが好位をキープ!このレースセンスが強さの証か!
大外からやってきたオーラIIが先頭に立ちます!
僅かに遅れて二番手はあくまのきし、その更に内側にラークエンハンス!
三匹の少し後ろから追走するのがルミネタイト、そして……あの水色の背中はヘブンズグライド!
ヘブンズグライドが一気に中団に進出!
遅れてきたタコ親父SSがこれに加わります。
中団を形成するのがこの三匹。
一身差ほどの差があるでしょうか、すぐ後ろにアポロンワールド。
前回マトリックスで会場を湧かした原因を作った張本人、アエラスは最後方からレースを進めます!
特に順位の変動は無く、八匹が揃って第四コーナーに差し掛かります!
内側から一気に捲っていったのがラークエンハンス!
トップはラークエンハンスです!オーラIIから先頭を奪い取りました!
その外側にいるのがあくまのきし、内側を器用に攻めるのが、タコ親父SSだ!
オーラIIが弾かれ、代わりにヘブンズグライドが中団を維持したまま突っ込んできた!
すぐ後ろにルミネタイト!
やや遅れてアポロンワールド!
最内を進み、一気に順位を上げたのがアエラス!
直線半ばに差し掛かり、ラークエンハンスが先頭キープ!
しかし、しかし、脚色が違う、一匹段違いの脚を見せるのが、あくまのきし!
一気にラークエンハンスに並びかけます! 差は頭差にまで縮まった!
内側からタコ親父SSも追い上げますが、これはラークエンハンスと脚色が同じ、
間を割ろうとしているのが、ヘブンズグライド!
あくまのきしすら越えるスピードを見せ付けますが、タコ親父SSが強力な壁となって前を塞いでいる!
外からやってきたのがオーラIIですが、こちらはどんどんヘブンズグライドに突き放されていく!
前がダンゴ状態になって混乱しているところで、すいすいと進むアエラス!ヘブンズグライドの直後まで進出しましたが、ここから先が辛いか!?
ルミネタイト、アポロンワールドは必死になって前を追いますが、同厩のヘブンズグライドには手が届かない!
直線は短いぞ!今、先頭ラークエンハンスがゴールを割ろうとしている!
が、そうはさせじとあくまのきし!
タコ親父SS以下の混乱を尻目に、この二匹がデッドヒートを繰り広げます!
体勢はラークエンハンスが僅かに有利!
だが、脚はあくまのきしが上だ!
ラークエンハンスか、それともあくまのきしか!?
二匹同時です!二匹同時にゴールをくぐりました!
場内騒然!かつてこれほど差の無い勝負があったでしょうか!?
先頭二匹が全く互角の実力を見せ付けました!
一枠か、三枠か、競鼠場のランプはどちらを一着として表示するのか!
機械でさえ、その差を捕らえられません!
一番最後に飛び込んだのが、アポロンワールド。そして、これまた差無くアエラスとルミネタイトがゴールに突っ込んだように思えます。
そして外から切り込んだオーラIIが五着でしょうか、その前でヘブンズグライドが内部から切り崩そうと必死になっていました。
前二匹には及ばずも、健闘を見せたタコ親父SSが三着。これは間違い無さそうです。
そして、2着は……1着はどちらでしょうか。
肝心の勝者が分かりません。全く互角なのですが……。
場内の空気が張り詰めます。
っと、
電光掲示板のランプが点灯しました!
一着は……「3」!二着に「1」と表示されています!
場内に歓声が沸きあがる!
一着はあくまのきし!ついにあくまのきしが公式杯を制覇しました!
その差はハナ……いえ、ヒゲ差と言っていいでしょう!
ラークエンハンスが悔しさをにじませています。
今や現役最強となった相手にヒゲ差とはいえ、後一歩のところで栄冠を逃した悔しさは紛らわせるものではありません!
早々とクールダウンし、あくまのきしを遠くから見つめています。
今、あくまのきしが競鼠場内を駆け巡っています!
Jun陣営の申し子、あくまのきし。
msc優勝、第一回最強鼠決定戦優勝、オータムグランプリ総合優勝に続く四つ目の称号、
公式杯制覇を果たしました!
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